2016.05.20
2017.05.16
ホームページ制作関連
複雑な工程のスケジュール管理と最適化
Webディレクターの業務でスケジュール管理は非常に重要な役割となります。 しかし工程の多い複雑な案件や、複数の案件を同時進行し始めると混乱してしまいがちです。
ディレクターが混乱してしまうと指示を受ける制作スタッフにも混乱を与え、結果納期に間に合わなかったということになると最悪です。
そこで今回は私が現在行っているスケジュール管理方法を紹介したいと思います。
お客様用と制作者用2種類のスケジュールを作成
お客様に提出する用のスケジュールは一般的なガントチャートをエクセルで作成しています。 シンプルな案件の場合はメールの文面でのみお伝えすることもあります。
これだけで終わったしまうと制作時に管理が難しくなるため私はアローダイヤグラムを作成し、作業スケジュールを視覚化しています。また無駄があれば改善するようにしています。
アローダイヤグラムとは
案件の内容と日程の流れを、矢印で順に追って表した図式のことで進行状況を視覚的に把握することができます。アローダイヤグラムの書き方は色々とルールがあるのですが、私はWebディレクションで使用する前提でシンプルなルールを決めて運用しています。
使い方
まず、作成するにあたり使用するマークは以下の3種類となります。
工程の始まりと終わりに丸を書いて(ノードといいます)矢印(アクティビティ)で結びます。矢印の下に必要な工数、上に作業名を記載します。
基本はこれでOKです。
具体的なルールはシンプルな工程で構成された案件のアローダイヤグラムで解説していきます。
- はじめと終わり以外のノードは全て矢印でつながっている
- 2つ以上の矢印を受けているノードは全てがそろってから次の工程に進むことができる
- 矢印は一方通行で戻ることはできない(ループも不可)
- ノードの結合点番号は(先工程<後工程)となるように付与する
ルールは以上の4項目で運用しています。
クリティカルパスを見つける
一番工数のかかる経路(もっとも余裕のない経路)をクリティカルパスとよび、 この経路の工程が遅延すると納期に間に合わななくなる可能性が高くなるため常に監視する必要があります。
またこの経路の最適化を行うことができれば進行の効率が高まります。(先ほどの図ではクリティカルパスを青色で表示しています)
工数と期日
矢印の下に見積で想定している工数を記載します。 そしてノードの上あたりに作業期日を記載します。
Web制作業において案件が同時進行しているのが通常であるため、工数が8であっても期日までは2営業日確保するといったスケジューリングを行うことが多いため工数=期日ではない点に注意が必要です。
期日までの工数の割り振りに関してはディレクターが決めてしまうのではなく、当社では各作業スタッフに一任しています。
ダミー作業とは
アローダイヤグラムを作成する際、わかりにくい項目がダミー作業(点線の矢印)なのですが、これはシンプルに考えてもらってOKです。
アローダイヤグラムは「はじめと終わり以外のノードは全てつなげないといけない」ので、 その作業が完了してからでないと進めることのできない業務のノードにダミー作業をつなげます。 先ほどの図では3番と4番のノードをダミー作業で結んでいます。ダミー作業は実際に作業が発生するわけではないので工数や作業名は記載しません。
工程を最適化する
先ほどのアローダイヤグラムでは構築後にライティングと撮影を同時進行することで効率化をはかりましたが、まだまだ効率化することは可能です。
ライティングにかかる工数が32に対して撮影にかかる工数が16となるためデザイナーはライティング待ちの時間が16発生します。
そこで、デザインに必要なライティングをライティングAとして工数を18にし、残りの作業をライティングBとしてコーディング開始までにそろえるように運用すると納期の短縮を行うことも可能です。
繁忙期などはこのように工程を細かく分割し次の工程の待ち時間を短く最適化することで生産効率を上げることが可能となります。
また細かく分割してもアローダイヤグラムがあれば視覚的に全体像を把握することができるため安全に運用することができお勧めです。