2015.11.06
2017.05.25
中小企業-経営戦略
会社の債務返済能力を知るには流動性分析(短期編)
流動性とは会社が債務を返済する能力の事をいいます。
流動性を評価するために行うのが流動性分析で、2~3年の短期的な支払能力、すなわち倒産しないかを評価する短期流動性分析と、3年以上の長期的な安定性を評価する長期流動性分析があります。
流動性分析は短期・長期共に貸借対照表(B/S)の数字を使用します。
今回は短期流動性分析について記載いたします。
流動比率とは
概ね1年以内に現金化することが出来るのが流動資産で、概ね1年以内に支払わないといけないのが流動負債と言い、貸借対照表に各合計金額が記載されています。この数値を使用し、流動負債に対する流動資産の割合を求めたものを流動比率といいます。
- 流動比率=流動資産÷流動負債×100
流動比率は120%以上ある事が望ましいとされています。
理解しやすいように個人の財布で考えると
手元に現金9,000円(流動資産)と3,000円で売れる予定のゲーム(流動資産)があり、 月末にカードの請求が10,000円(流動負債)来る予定の場合の流動比率は120%となります。
当座比率とは
流動比率では概ね1年以内に現金化できるものとして流動資産を使用しましたが、 流動資産に含まれる棚卸資産、いわゆる在庫などは実際に現金化できるか不確定なものとなります。 そこで、より安全な短期流動性分析を行う場合は当座比率を使用します。
計算式としては流動比率の流動資産が当座資産に指し変わります。
- 当座比率=当座資産÷流動負債×100
当座比率は100%以上ある事が望ましいとされています。
当座資産とは
流動資産の中でも最も現金化しやすい以下4つの資産を言います。
- 現金預金
- 受取手形
- 売掛金
- 有価証券
理解しやすいように個人の財布で考えると
手元に現金9,000円(流動資産)と3,000円で売れる予定のゲーム(流動資産)があり、 月末にカードの請求が10,000円(流動負債)来る予定だとします。
ここまでは流動比率の時と同じです。
しかし、ゲーム(棚卸資産)は本当に3,000円で売れる保証はありません。
その為、当座比率ではゲームの資産はカウントしないで、手元は9,000円とします。 すると当座比率は90%となり、当座比率が100%を切ってしまいます。
当座比率が100%を切るという事は、条件によっては債務超過となり破産してしまう可能性を示しています。
用語集(債務と債権)
- 債務とは相手方に金銭や物を支払わないといけない義務
- 債権とは相手方に金銭や物を支払ってもらう権利
今回の短期流動分析は会社が債権者に債務を返済する能力の評価で、 返済ができない会社は倒産することになります。